一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会

我が国ベンチャーエコシステムが新型コロナウイルス危機を乗り越えるための措置に関して

政策提言

 

一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会
会長 赤浦 徹
会長 中野慎三

 

当協会は、2002年11月の発足以来、ベンチャーキャピタル(以下VC)業界における相互連携とベンチャー企業育成の役割を一層強固にするという目的に向かって活動して参りました。VCおよびコーポレート・ベンチャー・キャピタル(以下CVC)が加盟する当協会の正会員数は直近3年で倍以上に増加して165社となり、政府系・大学系投資家ならびに業界支援各社による賛助会員も含めると、230社を超える規模となっております。

 

さて、昨今の新型コロナウイルスの世界的な流行を受け、我が国の成長を担う国内ベンチャー企業ならびにそれを支援するVCを取り巻く環境は激変しております。この新型コロナウイルス危機は、国内ベンチャー企業への資金供給の減少などを通じて、2008年のリーマンショック以上の影響を我が国のベンチャーエコシステムにもたらすだけでなく、今後の経済社会の在り方にも抜本的な変化をもたらすことが予想されます。

 

かかる状況下、日本ベンチャーキャピタル協会といたしましては、ベンチャーエコシステムへの新型コロナウイルス危機による悪影響を早急に抑制するとともに、流行収束後のポストコロナ社会を見据えた我が国経済の回復・成長を主導するため、政府に対し次の施策を早急に措置いただくよう要望して参ります。

 

<要望事項>

 

1)ベンチャーに特化した資金繰り対策

多くのベンチャーが売上激減や事業環境変化で事業計画見直しを余儀なくされる中、資金調達の凍結や減額も相次いでいます。企業存続のための資金の大幅な供給増加、雇用維持のための助成の強化を要望いたします。

 

2)「コロナと戦う」「ポストコロナ社会を構築する」ベンチャーの支援

新型コロナウイルスの世界的な流行の中、当協会としても、会員VC・CVCを通じて「コロナと戦うベンチャー」「ポストコロナ社会を構築するベンチャー」を育成して参りたいと考えております。政府におかれましても、是非ともそうしたベンチャーをご支援いただきたいと存じます。

医薬品、医療機器はもとより、様々な技術やサービスを用いて治療や予防、感染拡大防止やポストコロナの社会構造変化に対応できる国内ベンチャーは数多く存在します。こうしたベンチャーによる研究開発活動や事業化のご支援や、事業を加速する規制緩和の推進、それらのベンチャーからの政府調達を開始ないし強化いただく、また、大企業での活用を促進いただくなど、新技術・新サービスの社会実装を加速いただきたく要望いたします。
なお、当協会の会員VC/CVCより推薦のあった「コロナと戦う」「ポストコロナ社会を構築する」投資先ベンチャーのリストを作成いたしましたのでここに公開いたします。

 

3)国内VCへのLP出資の拡充

このたびの新型コロナウイルス危機を乗り越えるため、VC業界としましては引き続き我が国の成長を担う国内ベンチャーへの出資を継続して参ります。
これまでも機関投資家および政府系機関から国内VCに対するLP出資が戦略的に行われ、一定の成果を見てきたところでありますが、そうした戦略的LP出資を一層効果的に実施・拡充いただき、我が国のベンチャー企業への投資育成活動を下支えいただきたいと考えます。

 

 

会員各位におかれましては引き続き、ベンチャー企業へのより一層の支援を継続いただくとともに、政府関係各位におかれましても迅速にご対応いただけますよう何卒よろしくお願い申し上げます。

以 上

 

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