2025 年頭所感
謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。
会員企業及び関係各位の皆様におかれましては、平素より格別のご高配を賜り誠にありがとうございます。
昨年を振り返りますと、スタートアップの資金調達環境については、海外では大きく落ち込んでいるのに対し我が国では引き続き良好であり、100億円以上の大型調達を行った会社は9社(2024年11月迄)に上り、特に大学発スタートアップの調達が増加したところです。エグジット環境については、東京証券取引所グロース市場にIPOした社数は、年間65社、東京プロマーケット50社、計115社と、引き続き順調に推移しました。IPO時価総額はいまだ十分に回復しない1年でしたが、ディープテックスタートアップの好調なエグジット事例も見られるなど、新たな動きを感じさせる1年でもありました
日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)の会員数は、2024年も増加基調が続き、年初の359社から年末には33社増の392社に至っております。JVCAは現在3委員会9部会2室の体制で活動しておりますが、各部会・室によって企画・実施されたイベント・勉強会数も活発で、年間30回近くを数えました。集合型の初級・中堅キャピタリスト研修も計5回開催し、両研修合わせて年間300名以上の方が学ばれました。
JVCAの2024年は、「グローバル」と「ダイバーシティ」の1年だったと言えます。
「グローバル」については、10月に世界中のVC協会から成る「Global Venture Capital Congress」という国際会議を日本で初めて開催し、18の国・地域のVC協会の会長やCEOに出席いただきました。同会議に合わせて、JVCA関係者の皆様200名規模のシンポジウムも同時開催し、テレビ東京の「ワールド・ビジネス・サテライト」でも紹介されました。さらに11月には担当理事らで米国ニューヨ-クに出向き、世界の機関投資家がVCについて議論する「SuperVenture」というイベントでJVCAセッションを企画・登壇したり、投資運用会社やファミリーオフィス等15社との面談を実施したりいたしました。世界の中で日本のVCに注目が集まりつつあることを肌で感じた旅でした。また、投資活動のグローバル化が進む我が国VC業界の要請に応えるべく、海外投資制限を大幅に緩和する投資事業有限責任組合法の改正も実現したところです。
「ダイバーシティ」においては、業界のダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン (DE&I) 推進策をより一層強力に推進するため、1月に新たに女性や若手の理事を選任いたしました。現在JVCAの理事ならびに委員は30%がダイバーシティメンバーで構成されており、これまでにも増して活発な議論が行われています。3月には「JVCA DE&Iガイドライン」を発表し、会員企業の皆様に推奨する事項を織り込むとともに、春から夏にかけては2年ぶりのDE&I調査を実施し、各社のDE&Iに関する取組状況などを確認しました。9月には「ハラスメント根絶およびDE&I推進に向けた会員各社へのお願い」を発信し、「ハラスメントポリシー」の表明やハラスメント根絶のための方針策定などを会員の皆様にお願いさせていただきました。さらにはハラスメントポリシー雛形の作成に加え、各社が導入するハラスメント相談窓口設置のためのプランの構築を行い、年末に皆様にご案内させていただいたところです。
JVCAといたしましては、引き続き我が国の新産業創出を牽引し、スタートアップエコシステムの健全な発展拡大に貢献していくべく、邁進して参る所存です。我が国から世界に羽ばたくスタートアップを持続的に多数生み出していくために、関係各位の皆様のお力添えをいただきながら、このVC業界を多様性を持った関係者一人一人が自分らしく活躍できる業界として盛り立てて参りたく考えておるところでございます。
本年も皆様のご支援ご協力をお願い申し上げますと共に、関係各位の益々のご健勝とご発展を心より祈念して年頭のご挨拶とさせていただきます。
会長 郷治友孝
会長 田島聡一