一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会

2024年ダイバーシティ(DE&I)調査の結果ならびにJVCAのDEIに関する取組について

プレスリリース

我が国のベンチャーキャピタル(VC)ならびにコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)300社近くが集う日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)では、業界のダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(以下、DE&I)推進のための活動を行っておりますが、今般2022年以来2年ぶりに、会員企業へのDE&I調査を実施致しました。
 

本調査は春の一次調査、夏から秋の二次調査の二段階に分けて、2024年4月時点で登録のあったJVCA会員に向けて実施いたしました。
 
 

1)一次調査(会員へのアンケート調査)

2022年3~4月に行ったD&I調査以来の定点観測調査であり、DE&Iへの意識の高まりから、回答社数は前回調査時の59社から大きく拡大し、110社となりました。
 

一次調査の、「ダイバーシティ促進が企業評価やVCのパフォーマンスに影響を及ぼすと考えているか」という質問に対しては、94%が「大いに影響がある」「一部影響がある」と回答しています(前回調査95%)。また、「貴VC/CVCでは採用・組織構成・その他制度などにおいて、組織のダイバーシティに配慮しているか」という質問に対しては、88%が「大変配慮している」「やや配慮している」と回答しました(同90%、下図参照)。
 

女性や外国人の比率については、各社の社員における女性比率は33%(前回調査26%)、外国人比率は5%(同6%)でした。社員のうちキャピタリストにおける女性比率は15%(同16%)、外国人比率は7%(同9%)という結果となりました。さらに、マネジメント層や投資意思決定層における女性比率はそれぞれ11%(同9%)および7%(同9%)、それぞれの層における外国人比率は6%(同7%)および5%(同7%)という結果も出ました。
前回調査と比べますと、社員の女性比率が高まるなどの傾向も出ていますが、投資意思決定層における女性や外国人の比率など、まだ推進の余地が大きいといえます。
 

さらに、今回より新たに、2024年3月発表の「JVCA DEIガイドライン」の実施状況も調査いたしました。
主なものとして、「DE&Iを尊重する方針を定めているか」という質問に対しては、49%の会員が定めていると回答、「直近2年以内にリーダーシップ層がDE&I推進の意義について教育を受ける機会があったか」という質問に対しては、43%がありと回答しています。「リーダーシップによるDE&I体現とコミュニケーションに関するどのような取り組みがあるか」という質問に対しては、「経営陣と人事にて採用におけるマイノリティ目標比率を定めている」「女性の投資担当者の積極採用や女性役員採用の働きかけがある」「リーダーシップ層が全社員による360度評価を受けている」「コミュニケーションによる風土醸成が行われている」等のコメントも挙がりました。ハラスメント部分では、「ハラスメントを許容しないことを明確にした規則を定めているか」という質問に対しては68%がこれを定めていると回答し、「直近2年以内にリーダーシップ層がハラスメントについて教育を受ける機会があったか」という質問に対しては60%が機会ありと回答しています。

 

2)二次調査(個人へのフォーカスインタビュー調査)

今回は二次調査として、DE&I推進のための業界における課題抽出を目的とした初のグループ/個別インタビューを実施しました。
対象層は①マネジメント層②非マネジメント層の二つで、それぞれ、「各社のDE&Iに関するマネジメント方針」「各社の採用・育成・キャリア形成における仕組み・体制」「職場と業界のインクルージョン実態と醸成に向けた取り組み」「職場と業界のハラスメント実態と根絶に向けた取り組み」について、外部の調査会社がインタビュアーを務め掘り下げて伺っていきました。
 

その結果からは以下のような課題仮説が浮かび上がっています。
・業界のマネジメント層のマインドセットとして、多様性は重要だと思っているものの、
 DE&Iがビジネス上必須とまで引き上げては捉えられていないのではないか
・形式知化が進まない等キャピタリストの人材マネジメントに課題があり、結果的に
 女性やマイノリティにとってキャリア形成の障壁が生まれているのではないか
・特にマネジメント層は率直なフィードバックを受ける機会が少なく、無意識の偏見の
 排除、心理的安全性の担保等には改善余地があるのではないか
 

上記のような課題認識を受け、JVCAでは業界メンバーへの教育研修の増強を始めとするアクションを今後も継続的に実施して参ります。
 

なお、JVCAでは2024年9月に「ハラスメント根絶およびDE&I推進に向けた会員各社へのお願い」を発信し、ハラスメント根絶に向けたリーダーからの注意喚起、「ハラスメントポリシー表明」の必須化、ハラスメント根絶のための4項目(方針策定・リーダーシップ・通報システム・教育研修)の実施を会員各社に要請しました。会員企業各社での取り組みに加えてJVCAでは、各社が導入するハラスメント相談窓口設置のためのプラン構築ならびに業界のマネジメント層/メンバー層に対する研修・勉強会を行ってまいります。
なかでも、ハラスメントポリシーの策定と表明ならびに会員各社における相談窓口の設置については、2024年12月19日に会員各社に一斉連絡をしております。ハラスメントポリシーは2025年4月末を目指して各社策定・表明いただくこととなり、相談窓口の設置についてはJVCA賛助会員のうち6つの法律事務所にて新たに窓口を開設いただいたことから、会員各社が今後順次設置していく流れとなります。
 

JVCAではDE&I調査を継続的に行い、今後も業界のDE&I促進に向け活動して参ります。

 

■JVCA DE&I調査
<一次調査>アンケート形式
 実施期間:2024年4月24日~5月31日
 対象  :VC・CVC会員(286社)
 回答数 :110社(回答率38%)
 

・ダイバーシティ促進が企業評価やVCのパフォーマンスに影響を及ぼすと考えていますか
 
   

 

・貴VC/CVCでは採用・組織構成・その他制度などにおいて、組織のダイバーシティに配慮していますか
 
   

 
 

<二次調査>グループもしくは個別インタビュー形式(オンライン)
 実施期間:2024年8月7日~9月20日
 対象者 :VC・CVC会員のうち、マネジメント層ならびに非マネジメント層
     (一次調査回答社より一部企業を抽出)
 対象者数:マネジメント層10名、非マネジメント層20名(男性10名女性10名)

 

以上

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