一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会

2024 新年のご挨拶

プレスリリース

2024 年頭所感

謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。

このたびの能登半島地震により被災された方々には心からお見舞い申し上げるとともに、皆様の安全と健康、一日も早い復興をお祈り申し上げます。

 
さて、会員企業及び関係各位の皆様におかれましては、平素より格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。昨年を振り返りますと、スタートアップの資金調達環境については、グローバルで著しく落ち込んでいる中、我が国では相対的に良好でした。大型の資金調達を行ったスタートアップについては、全体の数字は低下しましたが、100億円以上の調達を行った会社が15社(2023年11月迄)存在し、特にディープテックスタートアップの大型調達が増加しました。スタートアップのエグジット環境については、東京証券取引所のグロース市場へのIPO社数は、年65社、東京プロマーケット32社、計97社と引き続き順調でしたが、上場企業の時価総額を見ると、プライム市場ほど回復していません。他方で上場企業によるM&A件数が初めて1,000件を突破するなど、日本でもM&Aが新たなエグジット手段として認知度を増してきた一年であったとも言えます。

 
日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)の会員数の増加基調は、2023年も引き続き継続しており、年初の329社から年末には30社増の359社に至りました。また、コロナ禍に伴う行動制限が2023年5月からほぼ解除されたことに伴い、イベントや研修のリアル開催が増えることによって、会員の皆様による交流や受講といった協会活動の便益をより実感頂けるようになった一年でもありました。特にキャピタリスト研修については、初級研修、中堅研修、CVC研修併せて過去最高の年7回の開催となり、受講者の皆様におかれては大変ご熱心に受講いただいたものと存じます。JVCAは現在3委員会9部会2室の体制で活動しておりますが、各部会・室によって企画・実行された勉強会数も、年間41回を数えました

 
さて、JVCAでは、これまで推進してきた「VC×機関投資家」、「大企業×スタートアップ」「新産業×政策提言」の3つの取り組みを継承しつつ、2023年7月より、郷治友孝と田島聡一を会長とする新体制が発足しました。そして、「2027 年までに、上場・非上場含むスタートアップの株式時価総額の合計額を 100 兆円規模とする」ことを新たな目標として掲げ、新たな活動方針として以下の3つを掲げました。

 

1.投資マネーの拡大
国内外の機関投資家から必要とされる情報の提供やデータの整備に取組みつつ、投資マネーの調達とそのスタートアップへの供給を⼤規模に拡大する
 
2.資金循環の促進
スタートアップの資金調達手段及び投資家のエグジット手段の多様化を図るとともに、大企業のCVC活動やスタートアップM&Aを支援することを通じ、新産業創出のための資金循環を促進する
 
3.スタートアップエコシステムの拡充
スタートアップから次世代を代表する企業が持続的に創出されるエコシステムを拡充するべく、中長期を見据えた政策に官民⼀体となって関与するとともに、活動の成果を可視化する

 
1.については、5月に担当理事らで英国に出張して10社を超える機関投資家と面談し、また9月にはVC会員の皆様のご協力を得て、5回目となる国内VCパフォーマンスベンチマークをリリースすることを通じて、海外投資家に対しての日本のVC業界の認知度向上を図りました。また、ファンド時価評価への公正価値評価の普及のための活動も積極的に推進して参りました。

2.については、2022年11月に決定された政府の「スタートアップ育成5か年計画」内に盛り込まれている、M&A含むオープンイノベーション促進税制の拡充、スピンオフ促進のための免税措置、のれんの償却を行わない国際会計基準(IFRS)の任意適用拡大、といった項目について、大企業のオープンイノベーション推進のための働きかけを継続強化して参りました。

3.については、2022年1月に「スタートアップ創出元年」を掲げた岸田政権のもと、2023年は関係各省庁からのスタートアップ業界ならびにVC業界への期待がかつてなく高まった一年であったと言えます。これに伴い、JVCAとしても、VC/CVC業界ならびにスタートアップ業界に資する政策立案のための努力を継続して参りましたが、VC/CVC会員のご協力のもとで11月に日本初となるスタートアップ公共調達促進イベントが内閣府により開催されるなど、公共調達において大きな進展が見られた年であると言えます。このほか、グローバル化が進む業界の要請に応えるべく国内ファンドからの海外投資制限の撤廃に向けた投資事業有限責任組合法の改正や、VC/CVC業界のGDP等への貢献を可視化するための取り組みなどについて政府への働きかけを行って参りました。さらには、当協会の目標を達成するためには業界全体の成長と競争力を持続的な形で向上させる必要があるとの認識を深め、業界のダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン推進策(DE&I)をより一層強力に推進するために、11月にはDE&I推進のための行動規範および多様性向上に向けた数値目標を策定するリリースを発信いたしました。

 
JVCAといたしましては、引き続き、我が国の新産業創出を牽引し、スタートアップエコシステムの健全な発展拡大のために貢献していく存在として、上記「100兆円」の目標実現のための3活動方針を着実に遂行していくため、邁進して参る所存です。我が国から世界に貢献しグローバルに輝きを放つ大きなスケールのスタートアップを持続的に多数生み出していけるように、関係各位のご尽力とお知恵を結集して、VC/CVC業界の総力を挙げて参ろうではありませんか。

 
本年も皆様のご支援ご協力をお願い申し上げますと共に、関係各位の益々のご健勝とご発展を心より祈念して年頭のご挨拶とさせていただきます。

 

会長 郷治友孝

会長 田島聡一


 

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