謹んで新春のお慶びを申し上げます
2023 年頭所感
皆様、新年明けましておめでとうございます。
会員企業及び関係各位には平素より格別のご高配を賜りまして誠にありがとうございます。
さて、昨年2022年は、2021年から引き続き調達環境が良好で、国内スタートアップ全体で総額8,000億円を超える調達が実現しています。1回の資金調達で三桁億円の大型調達を行ったスタートアップも7社存在し、それらを支える投資家の多様性も進みました。初値時価総額の課題はあったものの、4月に市場再編が行われた東京証券取引所のマザーズならびにグロース市場へのIPO社数は年70社、東京プロマーケット21社、計91社と引き続き順調でした。
日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)は引き続き会員数の増加基調が継続しており、年初の294社から年末には35社増の329社に至りました。
コロナ下によって勉強会等全イベントがオンライン化した前年から変わり、2022年は一部イベントをリアル開催できる状況となりました。特にキャピタリスト研修については3年ぶりにリアル・集合型で開催することができ、受講者の皆様の喜びの表情が印象的でした。JVCAは3委員会9部会の体制で活動しておりますが、各部会によって企画・実行された勉強会数は年間34回を超えております。
さて、JVCAでは、
「VCが我が国の新産業創出の牽引者となり、多様で持続可能な社会の実現に貢献する」をミッションとし、以下の3つを活動方針として掲げて活動して参りました。
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1.VC×機関投資家
年間1,000億円の機関投資家マネー流入に向けて国内外機関投資家の皆様との人的交流を深める。
2.大企業×スタートアップ
大企業の戦略に基づいた持続的なCVC活動を支援すると共に、大企業によるスタートアップのM&A促進に寄与する。
3.新産業×政策提言
次世代を代表するメガスタートアップ創出を目指して、官民一体となって政策の構築に関与していく。
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1.においては、VC会員の皆様のご協力を得て、9月に国内VCパフォーマンスベンチマーク第4回をリリースしたことに加え、いよいよ機関投資家との直接対話の機会を設けるべく、11月に海外機関投資家訪問ツアーを一部理事にて行いました。シンガポールに赴き、機関投資家を中心に個別面談とラウンドテーブルで20社以上と面談し、海外カンファレンスへの登壇で200名以上の方に日本のVC業界をアピールしております。
2.においては、政府による「スタートアップ育成5か年計画」内に、オープンイノベーション促進税制の拡充、スピンオフ促進のための免税措置、のれんの償却を行わない国際会計基準(IFRS)の任意適用拡大、といった項目が織り込まれておりますが、これらが検討されるよう、大企業のオープンイノベーション推進のための各種働きかけを実施いたしました 。
3.においては、岸田政権にて2022年1月に「スタートアップ創出元年」が掲げられたことと相まって、政府省庁からのスタートアップ業界ならびにVC業界への期待がこれまでになく高まりました。時を同じくしてJVCAとしても、VC/CVC業界ならびにスタートアップ業界に資する政策立案が行われるよう政治・行政の関係各所への説明・提言を行うとともに、有意義な意見交換を進めてまいりました。また、JVCA設立20周年という節目の年を記念し、7月の定時会員総会においては、JVCA設立来初めて岸田総理にご臨席賜り、スタートアップエコシステムの発展に向けたリーダーシップ溢れる力強い激励のご挨拶を頂きました。
2022年も上記の通り各種取り組みを進めてまいりましたが、一方で、2021年秋に発表したJVCAの新たな目標については、本年末をその期限として設定しております。
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「三つの1兆」/ 2023年12月までの実現を目指す
IPOから1年以内に時価総額1兆円を超える事例を創る!
スタートアップの年間資金調達総額を1兆円超とする!
VCファンド年間組成総額を1兆円超とする!
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JVCAは、我が国の新産業創出の牽引者として、引き続きスタートアップエコシステムの発展拡大に貢献するとともに、上記「三つの1兆」の実現に向けても邁進して参る所存です。
関係各位のご尽力を結集し、本年こそ、「失われた30年」から挽回し我が国が再び世界の中でプレゼンスを示し輝きを放つ、経済社会のパラダイム変革の契機となるものと信じております。ベンチャーキャピタル業界の総力を挙げて、新産業創出を担う有望なスタートアップ各社、果敢にチャレンジする起業家への戦略的な投資・支援活動をいっそう促進していき国内外で躍進するメガベンチャーを数多く輩出することを通じて、新時代に相応しい経済産業構造の創造に貢献してまいります。
本年も皆様のご支援ご協力をお願い申し上げますと共に、関係各位の益々のご健勝とご発展を心より祈念して年頭のご挨拶とさせていただきます。
会長 赤浦徹
中野慎三