世界銀行 Doing Business 2014によると、日本の起業のしやすさランキングは世界120位だと言う。
シンガポール3位、米国20位、韓国34位等と比較して、遥かに下位の起業後進国の地位に甘んじている。
GEM調査においても総合起業活動率が5.4%と欧米諸国だけでなく、アジア各国と比べてもひどく見劣りする。
2013年はアベノミクス第3の矢を力強く射るための規制改革が漸く進み出した。規制改革に終りはない。
しかしながら、ここで強調しておきたいことは、規制改革は起業率を高める特効薬ではないし、必要十分条件には成り得ないと言うことである。
起業家は、言葉を変えると「人と違うことをやる人種」と定義できる。かかる人種が育つ環境を醸成するためには大多数の日本人が従来慣れ親しんだ「同質性」環境から「異質性」環境に身を置く覚悟あるいは自発性が求められる。
昨年打上げに成功した小型ロケット イプシロンの開発責任者である森田泰弘氏の全く新たな発想はどこから産まれたのか?
イプシロンの成功で大きく前進した再利用可能化、スペースシャトルでも成し遂げられなかったロケットの飛行機化は、森田氏が異質性の環境で発想出来たと言われている。日本人の起業家精神が決して低いわけではない。それを発揮する環境あるいは機会が少なく避けて来ただけである。
VC自ら、奇人、変人、異端児を積極的に評価していく覚悟が求められる。VCの本質はリスクを取る気概であり、リスクヘッジを計算することではない。
経済成長は新陳代謝の反復によってもたらされる。
昨年は本番前の助走路で準備運動を終えた年であり、今年はいよいよメーントラックのスタートラインに立っている。
起業先進国に向かってスタートダッシュする年としたい。
一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会
会長 安達俊久