このたびJVCAでは、機関投資家からVCアセットクラスへの運用資金流入を目的として、オルタナティブ投資の国際的なデータ提供会社であるPreqin社と共同で、国内VCファンドのパフォーマンスベンチマークを新たに作成いたしました。
我が国にはこれまで戦略目的および政策目的のファンドを包括したVCベンチマークが存在していましたが、機関投資家の投資対象となるファンドに限定したVCベンチマークとしては国内初となります。当ベンチマークでは、二人組合・CVC等を除き、純投資目的で第三者資金を運用しているファンドのみを対象とし、そのリターンをファンド組成年毎に算出しています。
JVCAのVC会員のうち上記要件を満たすファンドに提出を求め、24社から76ファンドのデータを提供いただきました(提供企業一覧は下記)。市場カバー率は43%に至っています(Preqin社調べ、金額ベース)。
結果は下表の通りとなりました。
2010年以降に組成されたVCファンドのリターンを2018年末時点にて算出した当ベンチマークでは、2010年から2014年ビンテージのネットマルチプルは総じて1.5倍を上回り、ネットIRRは14%以上と、押し並べて好調な運用成績といえることに加え、2010年から2012年ビンテージはネットマルチプルがおよそ2~3倍、ネットIRRが14.9~31.1%と、とりわけ高いパフォーマンスとなっており、海外のベンチマークと比較しても遜色ない数値が算出されています。
JVCAでは経済産業省より受託した「投資家向けデューデリジェンスQ&A(DDQ)ならびに四半期レポーティング(QR)雛形」も本年5月に作成・発表いたしました。昨今機関投資家から国内VCへの注目も増していますが、今後はさらにコミュニケーションを促進し、VCアセットクラスに資金を集めることで、それを我が国のスタートアップに投資し、新産業創造を支援していく所存です。
ファンドの現在価値ならびに投資家への還元リターン等の貴重なデータを提出いただいた会員VC各社には厚く御礼申し上げますと共に、今後も継続的にベンチマークを作成して参りますので引き続きご協力をお願い申し上げます。
<ファンドデータ提供会員企業一覧>
アーキタイプベンチャーズ株式会社
ANRI株式会社
伊藤忠テクノロジーベンチャーズ株式会社
インキュベイトファンド
Eight Roads Ventures Japan
SBIインベストメント株式会社
株式会社オプトベンチャーズ
株式会社環境エネルギー投資
株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ
株式会社慶應イノベーション・イニシアティブ
株式会社KVP
株式会社サムライインキュベート
株式会社ジェネシア・ベンチャーズ
株式会社ジャフコ
STRIVE株式会社
大和企業投資株式会社
株式会社TNPオンザロード
D4V合同会社
Genuine Startups
株式会社東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)
株式会社ドーガン・ベータ
日本ベンチャーキャピタル株式会社
株式会社ファストトラックイニシアティブ
合同会社リアルテックジャパン
(社名五十音順)