一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会

2020年 新年のご挨拶

プレスリリース

2020年 年頭所感
皆さま、明けましておめでとうございます。
会員企業及び関係各位には平素から格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。

昨年2019年の我が国のスタートアップを取り巻く環境は引き続き好調でした。IPOは件数こそ横ばいでしたが、時価総額1000億円超におよぶスタートアップが複数社あり、赤字上場が増えたのも特徴でした。国内スタートアップの資金調達総額も2018年に続き2019年も4000億円程度と推計され、調達額の大型化も進んでいます。しかし一方では、調達額等における米国との差は依然大きく開いたままであり、我が国のスタートアップエコシステムを質量ともに大きく引き上げる余地があることも明らかです。

 

そのような中、日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)では、協会設立来最大の会員入会がありました。40社以上が新たに加入し、2019年末の会員数は226社に至りました。VC会員は96社で、独立系VC、全国の地銀系VC、大学系VC、事業会社の純投資VC各社が新たに加入され、100社目前に迫っています。CVC会員は63社となり、超大手企業のCVC、東京以外のCVCの入会が特徴的でした。賛助会員は67社で、LP/ゲートキーパー、大手金融機関などの加入が新たにありました。オープンイノベーションに関わるステークホールダ―が幅広く参画する業界団体として、ますます発展を遂げつつあります。

 

さて、2019年には、4年間会長職を務めた前仮屋薗会長から私たち赤浦・中野の両名が会長を拝命することとなり、7月の会長就任に際して新たに下記の目標を掲げました。

 

1. VC×機関投資家
年間1,000億円の機関投資家マネー流入にむけ、ディスクロージャースタンダード等を確立する

2. 大企業×スタートアップ
持続的なリスクマネー増加トレンドの形成と、大企業によるM&Aを促進し、エコシステムのより一層の成長を目指す

3. 新産業×政策提言
次世代を代表するメガベンチャー創出を目指して、官民一体となった産業政策を構築するためにVC業界のプレゼンスを高める

 

新体制から半年、以下の活動を進めて参りました。

 

1. VC×機関投資家
2019年はJVCAの一部理事による機関投資家との対話を開始しました。JVCA主催のメディア向けイベントにも機関投資家の方にご登壇頂き、機関投資家からみたVCアセットクラスについて記者の方にもアピール頂きました。そして、11月には、国内VC業界初となる、ファンドパフォーマンスベンチマークの策定に乗り出しました。対象となるVC各社のうち多くの方にご賛同ご協力頂き、データが順調に集まってきています。

 

2. 大企業×スタートアップ
2019年も多くの力強い事業会社、CVCの皆様に新たに加わって頂いたことで、JVCAを核とした大企業-スタートアップ連携は益々強力になったと感じています。また、スタートアップのM&Aを広げていく提言活動を行っていますが、去る12月の税制改正にて大企業からベンチャーへの出資に優遇減税が織り込まれたのに加え、一部報道では特にM&Aを行った大企業への減税を行うことで大企業の事業革新を促すという自民党の方針も報じられました。大企業によるスタートアップのM&Aの促進とそれによるエコシテムの成長転換が大いに期待されるところです。

 

3. 新産業×政策提言
政官民が一体となった産業政策を構築するため、政府省庁との連携を深めています。特に、VC業界に与える影響が大きかった昨年5月施行の外為法改正においては、JVCAは9月に声明を発表したのを始め、政府当局に対し制度改正の必要性を提言してきた結果、11月の国会にてJVCAの提言内容を踏まえた改正案が成立いたしました。会員の皆様のご理解ご協力にこの場を借りて改めて御礼申し上げます。他にもストックオプション付与対象拡大についての意見具申、財務省幹部との意見交換会への参加、自民党スタートアップ推進議連設立総会への会長招聘など、政府省庁の重要な意思決定に対し、JVCAから提言を行う機会を多く頂くことができました。

 

2020年は、上記の活動等から、機関投資家から当該アセットクラスへの本格的な資金流入が期待されるところであり、大企業によるM&Aを含む一層のオープンイノベーション活動の高まりも予想されます。春には世界のVC協会代表者が集うGlobal VC Congressの日本開催も決まっており、JVCAがローカルホストを務めます。オリンピックイヤーに相応しい、実り多い1年となることを期待しています。一方で、こうした積極的な活動に加えて、自業界におけるインサイダー取引規制を始めとする法令順守やガバナンスを今一度徹底すべく、協会としてのガイドライン策定も予定しています。会員各社の皆様には、是非ご理解ご協力をいただければ幸いです。

 

最後に、2020年も協会の活動へのご支援をお願い申し上げますとともに、関係各位の益々の発展をお祈り申し上げ、年頭のご挨拶とさせていただきます。

 

会長 赤浦徹
中野慎三

 

 

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